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タンパク質複合体のX線結晶構造解析
 
生体内では、タンパク質やDNA、RNAなど、たくさんの高分子が協調してはたらき、生命活動を担っています。これらの生体高分子は、互いに相互作用したり、集合して巨大な複合体を形成したりすることにより、独自の機能を発揮していますが、そのしくみを理解するためには、それら複合体の立体構造を詳細に調べることが重要です。
超分子構造解析研究チームでは、X線結晶構造解析の手法をもちいて、生体内で特に重要な役割を担っている大きな高分子複合体の立体構造解析を行っています。得られた立体構造は、その複合体が働く詳細なしくみを知る上で重要であるだけでなく、それに基づいた創薬等、応用研究の重要な基礎ともなります。
複合体の調製・再構成
様々な手法を駆使し、目的の超分子複合体を調整します。複合体を構成するタンパク質や DNA等のコンポーネントを高純度で調製し、試験管内で再構成させます。複合体の種類によっては、各コンポーネントを細胞内で共発現させ、複合体として調製します。また、細胞内にもともと存在する複合体をタグを使って精製する場合もあります。
複合体の結晶化
構造解析に向けて、複合体の結晶化を行います。巨大な複合体の結晶化は容易ではありませんが、その複合体ができるだけ安定かつ均一な状態で存在できる条件を検討し、結晶化を進めます。複合体のコンフォメーションや分子間・分子内相互作用を安定化するために、阻害剤やクロスリンク等をもちいるといった工夫をします。また、結晶化ロボットを用いることで、微量な試料の結晶化条件でも探索することができます。
データ測定・構造解析
得られた複合体の結晶を用いてX線回折データを取得します。分子量が大きいため、データ収集には、実験室のX線装置だけでなく、放射光施設の強力なシンクロトロン放射光を用います。得られたX線回折データをもちいて構造を決定します。